…裏の裏を?
裏の裏だから、池田屋‥?





「‥あぁ、成る程。長州は普段から池田屋を会合場所として選んでいます。だから、" こんな時まで同じ場所を使うとはいくらなんでも考えないだろう "と、新撰組が考えると長州は踏んだのですか。」




そう呟くと、小野寺は笑みを浮かべた。



「流石だ、頭の回転が速い。
長州は他にも時々会合などで四国屋を使う。新選組はもちろんその事を知っている。…普通だったらどう思うかな?」




その言葉に俺を続けた。



「…まさか、情報が漏れた今いつもと同じ場所を会合場所に選ぶはずがない、と。」




「だったら、普段使うことは少ないが、四国屋で会合を行った方が安全だ。…こう考えるのが妥当だろう。
長州はさらに、これの裏を掻こうとしたのだ。」




「なるほど…。」




俺は唸った。流石長州。
侮れないな。









小野寺が気配を探る。

そして、呟いた。




「だが、新選組には頑張ってもらいたい。我らは間者だから表立った行動はできん。
だが、これは困るのだ。言ってはなんだが…会津は腰が重い。」



空には綺麗な満月がぽつりとうかんでいる。




「…そうですね。どうにかして防いでもらわないと。」