わたしと海ボーイは、港にもどった。


「そろそろお別れですね。今日は、お付き合いいただいて、ありがとうございました」
海ボーイは、ていねいにおじぎをしてくれた。
「こっちこそ、楽しかったよ。誘ってくれてありがとう」
「それは何より」
「あの・・・」わたしはおずおずと聞いた。「また、会えるかな?」


海ボーイは、にっこりと笑った。


「渚さんが、大人になっても海を好きでいてくれたら、『海ウーマン』でいてくれていたら、ぼくは『海マン』になって、また会いに行きますよ。そうしたら今度は、フィッシュ&チップスを食べに行きましょう」


そんなビミョーなセリフを残すと、海ボーイは、
「では、ご機嫌よう」
と言って、ざぶんと海へ飛び込んだ。




そして、海にかえった。




これがわたしの体験した、ささやかな海の物語。








終わり