三十分後、わたしと海ボーイは、街中のマクドナルドの店内で、フィレオフィッシュセットを食べていた。
「海の中には、いろんなひとが落とした小銭が結構沈んでましてね。ハンバーガーを買えるくらいのお金は持っているのですよ」
「・・・・・・・・・・・・」
「ぼくのおごりですから、遠慮なく食べてください。シェイクを注文してもらってもいいですよ」
「・・・・・・・・・・・・」
「このフィッシュバーガー、タルタルソースがおいしいですね」
「・・・・・・・・・・・・」
「渚さん?」
「・・・・・・・・・・・・マックって」
わたしはため息をつくと、フライドポテトを一本、もそもそと口に運んだ。
海ボーイは、むっとして聞いた。
「何か不満でも?」
「いや、あのさあ!『海』が連れていってくれるデートっていったらさあ!やっぱり海の中のきれいな世界に行くんじゃないかって期待するじゃない!それが・・・・・・マックって!」
「海の中って・・・・・・、そんなところに連れて行ったら、渚さん、水圧で溺れ死にますよ?」
「いや、そこはさあ!なんかシャボン玉みたいなもので、わたしの体を包んでくれてさあ!それで海の底に潜って、亀とたわむれたり!マンボウとたわむれたり!」
「あははははっ!そんなことできるわけないじゃないですか。ファンタジーじゃないんですから」
「むう・・・」
ファンタジーな存在に言われると、腹がたつ。
「一応、ページ数のルールがありますからね。あんまり派手な展開にはできないのですよ」
「?何言ってんの?」
「ああ、気にしないでください。こことは、別の世界の話ですから」
「?」



