「信じてくれたみたいですね」
少年はそう言うと、マグロの頭をポケットに押しこんだ。
「うん」
「では、もう一度聞きます。ぼくと、デートしてくれませんか?」
「いいよ!」
わたしは即答した。


大好きな「海」が、どんなデートに連れていってくれるのか、すごく興味があった。


「ありがとうございます」
少年は笑った。
「うん。あ、ところでさ、わたしは君のことをなんて呼べばいいのかな?海って呼ぶのは、ちょっと変だよね?」
少年は、少しの間考えてから、答えた。
「渚さんは、友達から、『海ガール』と呼ばれているのですよね。だったら、ぼくのことは、『海ボーイ』と呼んでください」


少年、いや、海ボーイは、では行きましょうか、と言って歩き出した。わたしはワクワクしながら、それについていった。


一体、どんなデートになるのだろう?