目の前の野原もその音……声に気づいて私の後ろを覗き見る。 私も『ギギギー』っと音を立てる勢いで見れば… 後ろにはさっきすれ違った時の香りが仄かに香って… さっきまで親指を指して野原に聞いていた人物が、 『クスクス』と笑いながら私の後ろに立っていた。 「………ひ…平野先輩……」 それはさっき知ったあなたの名前。 声も口も顔も…私の身体全てが引きつっているのを体感した。