キャーーーーーーッ!!!!!


周りが泣いているような、叫んでいるような声がする。


その後はどうなったのか私には分からなかった。


ハルはどこへ行ってしまったのだろう――…









『――夏木さーん、夏木さーん』


誰かが私を呼ぶ声がした。


そっと目を開くと…そこは見たこともない部屋だった。


「夏木さん?良かった、目を覚ましたのね。」


そこには優しそうな看護婦さんがいた。そうかここは病院だったんだ。


「怖かったわね、突然目の前に車が飛び込んできたんだから。私も考えただけで恐ろしい。」


「あ、あの!!車が飛び込んできたって何ですか?」


「えっ……もしかして、何も知らない?」


看護婦さんが驚いたように目を開く。


「すいません。ホントに何も知らなくて……」


「いいのよ。それはそうよね、ずっと気を失っていたんだから。」


ハッとして壁にかけてあるカレンダーに目をやった。


今日は5月6日だった。


出掛けた日からもう2日も経っていた。


段々と理解できた。


あの日、あの横断歩道をわたっていたとき目の前に車が飛び込んできて、
その衝撃で私は気を失った―――


じゃあ、じゃあ……


「あの、ハル…園田春斗っていう人どこにいますか?」


看護師さんの顔が少しこわばった。


私は少しイヤな予感がした ――