おばあちゃんに言われた部屋に入り、バタンと敷いてあった布団に倒れた。


なぜか、自分の部屋よりも落ち着く気がする。


顔をあげると窓から吸い込まれそうなぐらい美しい景色が広がっていた。


きれいな緑色をした稲が風に揺れて波立ち、そのまた向こうに見える海も静かに揺れていた――


「夏みかん…」


さっき拓真に言われた言葉がふと頭に浮かんだ。


夏みかんなんて呼ばれたの小学校以来だ。


しかもあだ名付けられたのは低学年だったけ…