あの日から私は不登校になった。


そして自分の部屋からほとんど出てない。


お母さんの顔だって見てない。


見たくなかった。というか、誰かと話したり、顔を見るのもイヤになっていた。




そんな日々が続きもう2週間がたった……







久しぶりにお母さんのいるキッチンへ行ってみることにした。


お母さんは、三年前にお父さんと離婚してしまったから、お母さんだって一人で寂しかっただろう。


そんな中で私をずっと一人にさせておいてくれたことがすごくありがたく思えた。




「おはよう……」


私の言葉に料理をしていたお母さんがパッと振り向いた。


「みか…ん?…あなた、どうしたの!!」


私の変わり果てた姿を見てお母さんは絶句した。


前に買っておいたヘアカラーで、真っ黒な髪を茶色く染め、一つに結んでいた髪をほどいた。


そして、お母さんには見えなかっただろうが私の腕には無数の切り傷があった…


「何があったの?…」


お母さんが静かに尋ねる。


私は答えられなかった。ずっと下を向いたまま…


でも一つ、


「学校、行きたくない……」


と、微かな声で伝えた。


「…分かった。何があったのか分からないけど、もうすぐ夏休みだしおばあちゃん家でも行ってみたらどう?
少しは気が楽になるんじゃない?」


お母さんはそう言って小さく微笑んだ。


その顔にちょっと涙腺が潤みそうになった。


「うん…」


私はそのまま自分の部屋に向かい荷物を詰めた。





誰かを信じられなくて、すぐそこの未来も見えない私がこのときはあんなに変われるとは思ってもいなかった―――…