私はもやもや。
それは曖昧で不安定な存在。だから もやもや。



「教室」



もしもし、こんにちは。
ただいま4時限目に入り、社会の授業が始まった所です。
しかし困ったぞう。肝心の教科書を忘れてしまった。隣の人に「見せて」なんて言えない。だってもやもやだから。くそぅ45分間か……大丈夫だ。何たって私はもやもやだから。


先生「ドイツの哲学者のハイデガーは――なので――人間存在のあり方を――ですので――生きる意味とは――。」


ああ先生、教科書忘れてごめんなさい。だから指名しないで。

あまりの緊張で授業に集中できずにいた。

だってもやもやだから。


先生「六ページ六行目からは、坂下君に読んでもらおうか。」






私はもやもや。
窓から生徒の笑い声とピストルの音が響いてます。
気がついたら授業は終わっていた様です。
廊下からカレーの匂いがします。給食の時間がとても楽しみです。