お母さんを落ち着かせ、私は部屋に戻った
恐る恐る窓の外を見てみるが、もう誰もいなかった
「はぁ.....まさか自分の家族がこんなことになるなんて.....」
なんとなく嫌な予感がしてそれを振り払うように眠りについた。
ピピピピピピ....
目覚ましをとめ、いつもどうり洗面所で顔を洗いリビングへ向かった
リビングのテーブルには
「先に仕事へ行ってきます 朝ごはんは自分で作ってね 昨日のこともあるから戸締りと自分の身には気を付けて 今日も早く帰ってきてね お母さんより」という置き手紙があった
朝ごはん作るの面倒だからコンビニでなんか買ってから学校で食べよう...
そう思って部屋に戻りゆっくり準備した
携帯を開くと30分ほど前に純也からメールが来ていた
『今日仕事終わる時間早くなったから久しぶりにお前の家に行くわ 学校終わったら連絡して 迎え行く』
今は家がこんなだから純也がいるだけで心強い。でも、純也にこのことを言おうかどうか迷っていた
仕事が大変なのに迷惑かけたくないし、今日家に来るなら今日話そうかな....っと、もうこんな時間!家出なくちゃ!
戸締りをちゃんとして駅まで早足で向かった
学校での1日が終わり、私は純也に電話した
『もしもし』
「あ、純也?学校終わったよ」
『了解 今駅にいるから走ってこい』
「分かった!」
『駅に着いたらコンビニの前に停まってるタクシー見つけろ 俺乗ってるから』
「はいはーい」
学校を急いで出て駅へ向かった
コンビニにはタクシーが1台停まっており、遠くから中を覗くと純也がいた
近くにいき窓をコンコンと叩くと運転手さんがドアを開けてくれた
「今日は遅くないでしょ?」
「まぁな」
「なにその返事」
世間話をしているとあっという間に家に着いた
そして玄関の鍵を開けると......ん?鍵が開いてる?
いつもならお母さんがいても鍵がしまってるのに。
昨日のことがあったせいか、やけに嫌な予感がして顔の血の気が引いていくのが分かった
異変に気付いた純也がそっと頭を撫でてくれた
「詩?どうした?」
「う、ううんなんでもない!さ、入って入って!」
純也は納得いってなかったが私は早くこの不安を取り除きたかった
「お母さーん!ただいまー!今日は純也も一緒だよ!」
「お邪魔しまーす」
そう言った私たちだったがお母さんからの返事はない。
段々と冷や汗が出てきてお母さんに何かあったんじゃないかと不安で仕方が無い
「お母さん寝てるみたい笑」
「家事で疲れてるんだろ」
そう言って自分の家のようにリビングへ向かう純也。その背中を追っていくとドアを開けたまま純也の動きが止まった
ドンッ
「ちょっと純也!勝手に止まらないでよ」
「.........詩........お前2階に行ってろ」
「な、なに?急に。なんで?」
なんでいきなりそんなこと言うの?
すると純也がこちらを向き、怒鳴った
「いいから行けって!!!!!」
ビクッ
「そ、そんな怒んなくてもいいじゃん...喉乾いたからリビングに行きたいだ....け...............え?」
止める純也を無視して視線をリビングに移すとそこには..............
包丁が胸に突き刺さったお母さんの姿があった。
