家に帰るとお母さんが私の大好きなオムライスを作って待っててくれていた


「ただいま〜!」

「おかえり詩」

「もうお腹ぺこぺこだよ〜」

「温め直したらすぐ用意するからね その間に鞄とか片付けてきなさい」

「はーい」


部屋に行ってカバンを床に置き、靴下と制服のリボンをとった


「はーーーっ 今日も1日がんばった!」


そう言ってふとカーテンを開け窓の外を見てみると見知らぬ男がこちらをじっと見ていた

え?誰!?不審者?でもスーツだし、どこか悲しげな顔してる.....40代ぐらいかな?

そんなことを考えていると、1階のリビングからお母さんの呼ぶ声がした


「詩ー?ごはんできたから降りてきなさーい!」

「はーーい!!」


窓とカーテンを閉めて急いで階段を降りる

食卓につくと目の前にオムライスが運ばれてきた


「いっただっきまーす!」

「どう?」

「美味しい!いつものお母さんのオムライス!!」

「ほんとオムライス好きね」


お母さんのオムライスは世界1だとほんとに思うぐらい美味しい。だから1番好きなんだ!


「あ、あのね、詩に言っておかなきゃいけないことがあるの」

「ん?なになに?あ!まさか再婚?とか?笑」

「.......そんなとこかな。まぁ聞いて。」


いつもみたいな柔らかい笑顔のお母さんじゃなく、とても険しく真剣な顔のお母さんは今まで見たことがなかった


「あのね、私..............ストーカーされてるの」

「へ? 誰から!?どうして!?」

「詩落ち着いて。1年前の話になるんだけど、お付き合いしてた人がいたの。同じ会社で同い年の田原さんという人に恋しちゃって.....それから2人で飲みに行くようになってお付き合いすることになったの。」

「へぇ....私、田原さんって一回会ったことあるよね?」

学校が休みの日、携帯を忘れたお母さんのために会社へ持って行ったことがあるけど、そのとき田原さんにお母さんに渡しといてくださいってお願いした気がする...


「そう、あのとき携帯を渡した人が田原さん」


やっぱり....


「それで?どうなったの?」

「付き合ってる内に段々と束縛してくるようになって、ついには詩をこの家に置いて俺の家に来いって言い出したの。これ以上はもう耐えられないって思って....」

「フったんだね...それで逆上してストーカー行為か...」

ん?待って。さっき外にスーツ着た人いたよね?それってまさか....

「お母さん...さっき部屋の外にスーツ姿の人いるの見たよ」


お母さんがみるみるうちに青ざめるのが分かった


「警察には一応言ったの。だけど40代のおばさんな私がストーカーされてますってあまり信じてくれなくて... どうしよう... 詩に被害が起きてしまうのが1番怖い....」

「私は大丈夫!こう見えても強いんだから!だから安心して!お母さんは絶対私が守るから!」

「詩ありがとう.....」






ほんとは大丈夫じゃなかった。あのとき嘘ついてでも私がストーカーされてますって言って警察に捕まえてもらってたら....こんなことには......

お母さん.......守れなくてごめんなさい