睡魔と戦いながらなんとか午前の授業を終え、今は昼休み。

教室で麻未と直哉くんと3人でお弁当を食べていると、


「「「きゃーーーーー!!!!」」」


女の子たちの黄色い声が学校全体に響き渡った

「Dearのお出ましかな?笑」

麻未がニヤッと笑いながら言った

3人で廊下へ出てみると一際オーラが違うDearの3人が渡り廊下を歩きながら芸能科の棟の方へ歩いて行くのが窓から少し見えた


「やっぱりかっこいいね〜あの3人は。


「それ俺の立場どーなんの」

「直哉のがかっこいいに決まってんでしょ!///」

「お、おぅ///」

「はいそこまでー、教室戻ろーう!」

バカップルのイチャイチャを無理矢理止めて教室に戻ると丁度昼休みを終えるチャイムが鳴った






午後の授業も無事に終わり帰り支度をしていると純也からメールが届いた


『裏門にいるから』


裏門とは芸能科専用の出入り口で、普通科の生徒との混乱を避けるためにある


『了解!今から行くね』


メールの返信を素早く済ませ階段を駆け下りた


「遅い」

「はぁ....はぁ....これでも、走って、はぁ、きたんだから....」

「走ってもお前足遅いから無駄。」

「なんですと!?」


ほんとにこいつはぁぁぁぁ!


「ほら、帰るぞ」

「うん」


予約してあるタクシーに乗り込む

2人で登校するときと下校するときは必ずタクシーを使う

その方がばれないし安全だからね!

タクシーの運転手さんも、もう顔見知りでお友達。運転手の田中さんは57歳らしい。基本無口。


「あ、今日レコーディングした曲聴きたい?」

「うん!!聴く!」


一般人の中で1番最初に聴くってことだよね?なんかすっごい嬉しい!

どんな曲なんだろう?


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜♩


「すごいいいよ!感動した!!やっぱ純也の声が1番好きだなぁ...

「そうか?さんきゅ」


純也は小さい頃から歌うのが好きで、よく歌声を聴いていた。純也の歌声は人の心を和らげてくれる気がする。

そんな純也の声に酔いしれていたが家に着いてしまった。

純也の家は隣だからもうお別れだ。

「じゃ、また明日ね!」

「明日は俺朝からいねーから、行き帰り気をつけろよ」

「はいはーい」

「じゃ」

「ばいばい!」


軽く手を振って玄関に向かう。玄関を開け家に入る前に後ろを振り返るとまだ純也がいた


「なにこっち見てんだよ 早く入れ」

「言われなくても入ります!」

「寝坊すんなよ〜」

「分かった分かった!じゃーね!」


こうして何気ない1日は過ぎていった