俺は人の心の内が見える。
なんてことはない。
だから断定はできない。
けれど、ほんの、ほんの少しだけそう見えてしまった。
たけど、追求するつもりもない。
少しのことに躍起になる必要もないから。
「で、修人。どうすんの?」
呆けている蒼と倖はほっとき、まずは我らが総長殿に意見を求める。
修人は口角を持ち上げて、扉を見つめていた。
ありゃりゃ。
気に入ったのね。
彼が笑うということは、もう……