先生は若く、おっとりしている。
が、隙がなくて、少しだけ面白い人だ。
と思う。
確かこの人の名前は、深景 祐貴(みかげ ゆうき)、だったかな……
「深景先生」
「はい?」
にこにこと笑顔の絶えない人だな。
「さっきから思ってたんですけど」
私は一呼吸おいて、この“視線”に動揺などしていないフリをして訊く。
「どうしてHRの時間にこんなに生徒が出歩いてるんですか」
“視線”とは、HR中のはずなのに、廊下に出て遊んでいる生徒のもの。