俺は副総長で、こいつからは全て聞かされていた。
ああなった理由も、消えた理由も。
「出して」
運転席に座る奴にそう言うと、静かに動き始めた車。
「俺ん家に、ね」
目的地を伝えると、ただ頷き、進行方向を定めた。
「狼嵐の近くなんだろ?あそこは」
訊くのではなく、確かめるような質問に、俺は視線だけで答えた。