腕の中で寝息を立てるお姫様、棗を抱えて車に乗る。
中には心葉がいて、心配そうに棗を見ている。
「大丈夫なのか?」
「寝てるだけだよ」
過保護な親よろしく心配性な心葉は、眉を下げ、棗の本当の金色の髪を撫でる。
「総長が、いなくなるなよ……」
寝ている棗を膝に乗せて呟く心葉。
心葉は鬼龍の幹部で、当然以上に心配していたんだ。
いきなり消えた、あの日はもう顔面蒼白で、救急車でも呼ぼうかと思ったくらいだ。