返事なんて、できなかった。
彼の言葉は綺麗で、私の汚い心には届かない。
でも、彼の気持ちはわかったから。
「……頑張る」
今はこれが精一杯。
それでも彼は私を知っているから、満足そうにぎゅっとしてくれた。
「棗、俺はちゃんとお前を知ってるから、こんなことしか言えないけど、独りで泣くな」
何よりも、重い言葉。
「これをお前は重いと思うだろ?でも、お願いだ、何かあったら俺を呼べ。心葉たちは呼べないだろ?」