それと同時に、少しぐらいなら…と思ってしまう。
けれど、蘇るあの時の、あの瞬間の光景がそれを許さない。
「やめてよ。それじゃ、被るの」
うろたえていることが分かり易く、震えた声。
「棗、お前をもう一人にさせない」
私の目の前に歩み寄って、そっと触れた修人の温かい手。
その手を見限っている私は、せめてそんなことはできないコトが証明される日までは。
と、言い訳を見つけ、縋ろうとする。
だって、見つめてくる瞳が、あまりにも無知で。
知らないのなら、少しだけ。
けれど、蘇るあの時の、あの瞬間の光景がそれを許さない。
「やめてよ。それじゃ、被るの」
うろたえていることが分かり易く、震えた声。
「棗、お前をもう一人にさせない」
私の目の前に歩み寄って、そっと触れた修人の温かい手。
その手を見限っている私は、せめてそんなことはできないコトが証明される日までは。
と、言い訳を見つけ、縋ろうとする。
だって、見つめてくる瞳が、あまりにも無知で。
知らないのなら、少しだけ。

