鼻腔をくすぐる薫りに少しそんなことを思った。
「さて、篠原さん。授業はどうしたんです?」
にこにこと、顎に手を置き、下から覗くように私の顔を伺っている。
へんにいじわるをされている気分になってしまう。
それを知ってか知らずか、私の答えを笑顔を絶やさず待ち続ける先生。
「あれが授業っていえるんですか?」
吐き捨てるように呟いた。
先生は、それもそうですねと、さして気にしていない様子で。
まじめに答えたのが、馬鹿馬鹿しく思えた。