私は後ろ手に扉を閉め、軽く会釈する。
「ああ、篠原さんですか」
先生は私の顔を確認して、カウンターにもう一度引っ込む。
何をしているんだ、この人。
ていうか、この人私の担任じゃなかったっけ?
「ここ、担当の人いないんですよ。本好きですし、俺が担当することになったんです」
まるで、私の考えを読み取ったかのように、答えた先生。
「そう、なんですか…」
説明してくれたからには返事しないわけにはいかず、だけど曖昧な返事しか出来なかった。