それはそうだ。
だって、蒼は今殺気を出している。
この男は、いや、このクラスの奴らは、たったこの程度の殺気に震えている。
ここで震えていなければ、怪しまれるので、私も怯えているフリをする。
蒼は、ゆっくりと男に近づく。
身長的には男の方が高いため、自然と見上げる形になってしまうが、睨む。
「聞こえてるの?何してんのって訊いてるんだけど」
低く唸るように男に再度問う。
「な、にも」
「なに?」
「なにも、してません」
震える声で精一杯に絞り出した声は、私を責めているときよりも弱々しい。