「それでさ、黒澤」 クラスの男子が黒澤くんに話し始める。 「“あの子”もうオトしたの?」 …あの子って誰? そう思いながらも私は静かに話を聞く。 「“あの子”って誰だよ」 どうやら聞かれた本人にもわからないみたい。