【君色キャンパス】
感情を無くした少女、紗波は美術部でキャンバスに絵を描くが、笑顔を描くことができなかったが……。
(紫鶴 様、採用ありがとうございます)


――――

凍てついた瞳に
色を成さない景色がただ……
映っていた


微笑みのない無表情な顔


何を描いても
納得できずに

ただ……描くモノを探していた


目の前の笑顔を
見つめていても
描くことができなかった



生きていない絵画

それが……わたしの心

わたし自身の姿


あの日
彼は見透かしたのかもしれない


笑顔を描きたい
何度も
消しては書き直した


指が……胸が……心が……
震えていた



チリっと
何かが……小さな音を立てた



彼と言葉を交わした


パレットに広げた幾つもの色たち

キャンバスに描いた絵画に
生きた魂を吹き込む


兆しだった――