たった二言なのに。
口に出しただけであたしの涙腺はまた緩まる。
山下くんはそんなあたしを優しく抱き締めてくれる。
「……山下くん?」
あたしを抱き締める力は緩まるどころか段々強まるばかり。
あたしは少し戸惑ってしまって山下くんに呼びかける。
「ごめん、こんな時にフェアじゃねぇけど」
耳元であたしに山下くんが話しかける。
「……え?」
予想もしてない言葉に次の言葉を催促するようにまた問いかける。
「俺本当はずっと、浜口っちゃんが好きだった」
突然の告白に頭がついていかないあたし。
そんなあたしをぎゅっと抱き締めたまま、彼は切なさそうに言った。
「俺が絶対、そいつを忘れさせるから。絶対幸せにするから」
あたしをゆっくり離して、あたしの目をじっと覗き込む。
「だから俺と付き合って」
あたしはほぼ無意識に頷いていた。