とりあえず彼女の手を引いて、学校の敷地へ戻る。
力一杯叩いたのだろう、彼女の掌は真っ赤に腫れていた。
隅の水道で彼女の手を冷やしながら、彼女の様子を伺う。
涙を流し続ける彼女。
その涙は、親友である千夏ちゃんを思っての涙なのか。
それとも、俺の親友を想って流しているのか。
由香里の好きだった人が悠斗なんて、考えたこともなかった。
悠斗の一方的な片想いだと思っていた。
由香里が悠斗にフラれていたなんて、そんなの考えつくわけなかった。
ずっと悠斗と一緒に行動してきて。
ずっと互いに由香里のことしか見ていなかった。
なのに。
俺は一体何を見てきたとゆうんだろうか。
悠斗が真っ直ぐに由香里を想っていたのは知ってる。
由香里が『誰か』をずっと想っていたのも知ってる。
結局俺は、ただ二人の仲を割いてしまっただけなんだろうか。

