由香里と付き合い始めて一ヶ月。


特に由香里本人とも、悠斗との関係も問題なく順調に進んでいた。


悠斗とはさすがにお互いの彼女のことを話すようなことはなかったけど。


今までまともな彼女がいなかった俺は、それが普通なのかもしれないと思っていた。


そんなある日。


いつも通りに由香里を家まで送り届けて帰宅した玄関に、珍しくは母親の靴があった。


リビングに行くと、母親がちょうど夕食を並べているところだった。


「おかえり」


珍しい歓迎に不思議に思いながらも、俺はソファーに荷物を置いて座る。


「今日は早いんだ。珍しいね?」


そんな俺の問い掛けに、母親が少し不満そうに答える。


「たまには母親らしくしないとねー」


若くで俺を産んだ母親はまだ30代。


子供の俺から見てもまだ綺麗な方だと思う。


「感謝してるよ、一人でここまで育ててくれて」


俺はそう言って立ち上がり、キッチンで手を洗う。


「あら、嬉しいこと言ってくれるじゃない」


母親は微笑みながら、エプロンを外して席に着く。