静まりきっているその場所は、当たり前だがもう門が閉まっていて。
俺は裏へと周り塀を乗り越えた。
懐かしいその場所。
たくさんの女を抱いて、傷つけて。
そして彼女と出会った場所。
母校である中学の体育館の裏。
その辺の石ころを拾い、記憶を頼りに土を掘る。
しばらくあちこち掘り返した俺は、やっと目的のものを探しあてる。
……あの時の彼女の指輪。
それをあの時の彼女のように、ぎゅっと握りしめた。
あの時よりも、俺はましになったつもり。
悠斗にも、千夏ちゃんという可愛い彼女ができた。
そして、変わらない俺の気持ち。
あの時した決意をはっきりと思い出しながら、俺はその指輪をまたそっとポケットに入れた。
ごめんな、悠斗。
心の中でそう謝りながらも、俺は決意を新たにした。