ぶきっちょ




「好きなの!!」


その場を去ろうとしていた俺は、後ろから抱きつかれて足を止める。


「トモが好き」


そう言ってそのまままた涙を流すマナミ。


「そーゆうの面倒くさいって言わなかったっけ?俺」


そう言いながら、マナミの腰に回った手を解く。


「お前がそーゆうこと言い出すならもう、お前とは関わらない」


マナミを振り返って言うと、さっきにも増した涙が溢れる。


「分かった?」


俺はそれだけ言うと、また足を進めた。


とにかくこの面倒くさい空気から抜け出したくて。


そんな俺を引き止めたのは、マナミの思ってもいない言葉だった。