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「よっ」
バスを降りた俺を出迎えたのは、今あまり会いたくない人物だった。
「…デートうまくいったのか?」
俺はゆっくり、友貴に尋ねる。
辺りはしんとしていて、心臓の音だけがやけに響く気がする。
「悠斗に、話したいことある」
俺の質問には答えない友貴。
胸騒ぎがする。
「あぁ、何?」
俺はただ、それだけ答える。
本当は聞きたくなかった。
きっと言われる事は決まってる。
―浜口っちゃんと付き合うことになった。
そう言うに決まってる。
俺はもうすでに、千夏ちゃんと付き合ってるわけで。
友貴には浜口さんのことはもう吹っ切ったと言っていて。
俺が不満を持つことなんて、許されるはずないのに。

