蒼の界





その日は、いつも通り、放課後の教室で落書きされた机を、雑巾で拭いていた。


「東雲」


かなり久し振りに名前を呼ばれて、少したじろぐ。

声のする方を、恐る恐る見れば、クラスメイトの花咲俊景(はなさき としかげ)がそこに居た。


「・・・、何」

声が震え、相手に聞こえているのかも分からない。


彼まで、私を傷つけるつもりなのか。



(彼だけは、いやだ)





花咲俊景は、私の・・・、想い人だった。