「だ、誰ですか?」

恐る恐る聞く私はなんて、小心者何だろう、と自分が憎く思う。

でも、こんな人達から逃げられる見込みはない。

すると、マッチョが私の腕をつかんできた。

「来たぞ」

短髪が言った。

マッチョは、私を掴んだまま、引っ張った。

徐々に車が近づいて来る音がする。
目の前が、車のライトがあたしを照らしていく。

それと同時に現実味が沸いてくる。

──あたし、やられちゃうのかな?

不意にそんな事が頭を過ぎった。

死にたく、ない。けど、助かれるかな?

助けてほしい。

ここで、初めて私は大きな声を出した。

……つもりだった。

マッチョが私の口に布を押し込んだから、叫べなかった。

マッチョは、私の心が読めるらしい。