君の恋の罠に落ちていく




「…って、そこ聞いてるー⁉︎」



さっきまでペラペラと語っていた詩乃は私達が話を聞いていない事に、人差し指をこっちに向けた。




「あーもうはいはい。
ていうかさっきの消しといてよー?」





呆れたような目で詩乃を見る。




「?…何を?」



キョトンと何の事か分かっていない様子の詩乃。



「ほら、さっき私と桂山の写真撮ってたでしょ。
それ消してって言ってんのー」



「え、やだよ。」


「……」




ほぼ即答で答える詩乃。




いや、あの…

やだよ

じゃなくてさ……



「…ちょっと何言ってんの」



「それはこっちのセリフー。
かりんこそ何を言ってなさるの」



ありえないというような表情で
カメラを抱きしめる。


「あの、かりんが、だよ?
絶対男なんか興味ないっていうオーラで男を見下してたかりんが‼︎
まさか、男と付き合うなんて!
しかも!めっちゃ楽しそうに!
それを写真に収めなくてどうすんのっ‼︎」


「え、まじ?
かりんが
俺といて楽しそうにしてたの?」



何故か桂山が横から入ってくる。



「うんっっ‼︎‼︎
それはもー、恋する乙女♡
な表情してたんだからっ‼︎」




「え、マジでマジでっ⁉︎
俺、期待しちゃってもいいわけ⁉︎」



「ちょっとそこっ‼︎
勝手に話を盛り上げるなっ!
それに詩乃!話盛り過ぎっ!」