君の恋の罠に落ちていく



『ごめん…』




かずとがさやかを抱きしめる。
それを暖かい目で見守る桂山。




『まっ、一件落着ってことで邪魔者は
退散しないとなー』






そう言うと桂山は舞台裏へ。




『あーー!!そういえばっ!
かずと、なんで亜美ちゃんの告白
オッケー出したのよぉー!
好きなのは私じゃないわけぇー!?』





グラグラとかずとの肩を激しく揺らす。





『いやー…まぁ…
アレは何かヤケになってたって
いうか…』





ポリポリと頭をかく。
何それぇぇーーっっ!!!
と大声で叫ぶと幕はゆっくりと
閉じていく。



客席からは、大きな歓声が聞こえる。





はぁー…
何とかやり終えた……




緊張と集中力で心も体もはクタクタ。


「かりん!ほんっとうに凄かったよっ!!もう感動!
かりんは舞台から落っこちそうに
なるは、司君も登場するは、ハラハラ
したけど!」





舞台裏にいる役者が私に言う。






「あー…それはごめんなさぃ…」






「でも間宮の演技良かったよっ
おかげでこっちも楽しめたし」





ニコッと七瀬が猫をかぶり、さらっと
褒めてくれる。
隣には桂山が立ち、ヤレヤレという表情。