君の恋の罠に落ちていく

「「あっぶねー」」




二人の声が重なる。

舞台の下から支える桂山と
舞台の上から支える七瀬。



ドキッ



何故か不快にもドキッとする…



私は二人の耳元で


「…ありがと」


というと二人の顔は真っ赤っか 笑


よぉしっ!
私のせいで無茶苦茶になったんだから
ここからはとびきりのアドリブで
何とかするぞっ!




桂山も舞台の上に上がらせて

かずと(七瀬)VS私(さやか)一緒に居た男(桂山)

となった。



本当は一緒に居た男の人役がいるけど…ごめんね〜
その代わり面白くするからっ

舞台裏にいる男の人役にウインクをした。
まっ、勿論イチコロだよね。








『かずとが見た男の人って、この人のことだよね?』



そう言って七瀬を指差す。



『…ああ』



ゆっくりと頷くかずと。




七瀬っ合わせてくれてありがとうっ!!







『やっぱり…
あのね、よぉく聞いて?この人は…』



『さやかの彼氏です!よろしく!』






言い終わる前にニコッと笑顔で
桂山がわって入る。
ぎゅーっと私を後ろから抱きしめる。





『ちょっ…!なに言ってんのー!?
いっつも言ってるじゃん!
冗談はやめてってば』



『……やっぱり彼氏なんだ…?』





冷めたように見るかずと。



『だから違うの!聞いて!?あのね!』




『もう言い訳は聞きたくないんだよ!
お前も彼氏いるんだったら俺が彼女いようが関係ないだろ?!
せいぜいお幸せになっ!!』




かずとは叫んでその場を去っていく。





『…なんで………
なんでよ…………』




小さくつぶやきながら肩を震わす。






『だから違うって言ってんじゃんっ!』




大声でかずとに叫んで言う。
かずとは振り返る





会場がシンとなる。






『私が違うって言ったら違うにきまってるじゃんっっ!!
今まで私、嘘ついたことあるっ!?
無いでしょっ!?

…なんで最後まで聞いてくれないの?
そんなに私のこと嫌いなの……?』



叫んでから小さく声を震わす。



『それにこの人は彼氏じゃないのっ!
私のお兄ちゃんっ!
顔は似てないかもだけど私の大好きな
お兄ちゃんなのっ』






『……は?お兄ちゃん…?』





『一緒に出掛けてたのはかずとの誕生日プレゼント買うためっ!

何がいいか分からなくて…
かずとが好きで!好きで!
大好きすぎて!

お兄ちゃんに相談したけど
彼氏っていうもんは、彼女が選んだ物なら何でも嬉しいもんだって!
だから、ナンパとかされないために
ついては行くけどプレゼントのことは
お前が決めろって!

……だからっ…私かずとがいなかったら…』




ペタンとその場に座り込んだ。