君の恋の罠に落ちていく



私が出ると客席からは




「あ、花梨だ!」

「可愛い〜♡」

「ヒュー花梨ちゃん頑張れー!」





女子や男子からチラチラ聞こえて
ざわつく。

客席の方をチラッと見ると
一番前の席にはまさかの、あの桂山。



マジか…
ていうか近い……



そんなことを考えていると
あっという間に七瀬が登場
また客席がざわつく。








『もーおぉっそい!!』



『わりぃーわりぃー!』



『いっつもそうやって言いながら
遅れてくるじゃんかぁ〜。
時間ピッタリに来たのって初めての
デートの時だけじゃんっ。』




プゥ〜と怒る私、さやか。

スルっと私の手を絡め




『本当ごめん!機嫌とれよ、なっ?』


『じゃあ私のこと好き…?』




上目遣いでゆっくり言う私。



『好きに決まってるだろ!
さやかのことは一番大好きだって!』


『んっ!よく出来ました!彼氏さんっ
私もかずとのこと一番大好きっ!』





拗ねてた私がニコっと笑顔になる。

客席からはホワ〜ンという雰囲気が
ただよう。

ここのシーンはただのバカップルって
感じで平凡なんだよね。