「んで、大丈夫なわけ?」
「んー、一応」
いつも通りに桂山と一緒に登校の
お喋りタイム。
今は、今日の劇のことについて。
「体育館でやるんだっけ?」
眠そうにあくびをしながらこっちを
向く桂山。
「うん
あ、でも見に来なくていいからね?」
「なんでだよーていうかほとんどの
奴は見に行くっていう噂知らねえの?
なんてったって、
あの相川七瀬と間宮花梨が主役だ!
これは見ものだー
って大騒ぎ。」
「うわ…それ本当……?あー最悪っ!」
顔を手で覆い、ため息をつく。
「え、何?もしかしてめっちゃ
緊張するタイプなの?」
これは珍しいというような目で
興味津々で聞いてくる。
いや…
別に緊張って訳じゃないけどさ……
もしも失敗したら見てる人が
多ければ多いほど恥かくじゃん?
ってこれが緊張っていうのか…
ポンポン
「!?」
いきなり大きな手が私の頭に
のっかかる。
「大丈夫だってっ!
緊張は誰でもするし間違いも
するもんだし。」
ニカッと笑って心の中を読んだように
言う
うぅ…
なんか変な気分…
「何言ってんの
私が失敗するわけないじゃん?」
いつもの調子を取り戻して生意気に
言う。
「よしよし、その調子ー」
「うっさい!桂山に励まされなくても
大丈夫ですぅー」
ありがと桂山。
本当は嬉しいよ。
私のために緊張ほぐしてくれて。
それにいつもより早めに迎えにきた理由も知ってるよ。
ちょっとでも話す時間を多くして
私の様子を見たかったからでしょ?
そういうさりげない優しさが
私は…………

