「帰んぞー」
七瀬と私だけしかいない体育館に佳山が鞄を肩に掛けて覗き込む。
あ、佳山の存在忘れかけてたかも…苦笑
「はいはーい……にしても
約束時間ピッタリにいっつも来るよねー。
別にそんなに正確に来なくてもいいのに。」
帰る準備をしながら佳山に話しかける。
いつも7時に約束してるけど
一回も遅れたことないし
むしろ30分前に来るときだってあるんだよ?
いやー…すごいわ……
私も他の子と待ち合わせなら
それぐらいにちゃんと行くけど
何もかも全部知ってる人にわざわざ
正確に行こうとは思わないなー。
私だけかもしれないけどさ。
「……男と二人だけじゃ何されるか分かんねえし」
少し黙ってからポツリとつぶやいた。
え?
はい?
聞き間違い?
ふっ
「アッハハハハハハ!!
私と七瀬が?ないないなーい!
間違えてもそれだけは絶対ない!!
普通の野郎ならそうかもしれないけど
七瀬なら大丈夫だって!」
ヒーヒーとお腹を抱えて大笑い。
「そう思ってると簡単に男にヤられるぞっ
ほら、準備できたなら行くぞ」
急いで靴をはきかえ
佳山についていく。
「もーそんなに急がなくても…
あ、七瀬、明日の文化祭
私に赤っ恥かかせないでよねー。
戸締りおねがいねー。」
早足で歩く佳山に後ろで急いで
ついていきながら振り返り
七瀬に最後に伝言。
「それはこっちのセリフだっつーの~」
七瀬の大き声が後ろから聞こえる。

