君の恋の罠に落ちていく





「そっか…
何かあったら俺に言えよなー。
どうせ悩みとかあっても言う相手いねぇだろ?笑」



「言う相手ぐらい、いますぅー!」


いーっと子供っぽい表情で七瀬に反撃する。



「ほぉ~?それはどこの誰かな~?」



まるで小さい子供に聞くかのような口調で顔を覗き込んでくる。



イラリッ



「…っ…おっ……お兄ちゃんとか!……桂山とか……いるし……………」




だんだん声が小さくなって終いにはもじもじ。


いや…でも本当だし?
佳山に悩みって言うかグチこぼしてるだけだけど……。




「ぷっ…女はいねえのかよっ笑」




アハハと大きな声で笑い出す七瀬。


ちょっとさーそれはひどいんじゃないんですかー?
あんただってどうせ私と同じでしょっ。

あっ…

ゆういつの本性出してしゃべれる女子思い出した…。
でもその子を思い出すと嫌な記憶まで流し込まれるっ……





大丈夫



大丈夫だよ。



あの子の事は裏切り者にしちゃえばいいんだよ。



最低で簡単に親友を裏切れる汚い女なんだよ。







何度も自分に言い聞かせて記憶をもう一度閉じ込めた。



その子を思い出すとね?


中学の頃の話、本当はあれだけじゃない


もっと長くて切なくてドロドロで…


その子が関係してくる。




七瀬にはまだ内緒。




その時がきたら



私は



私じゃなくなる気がするんだ……










「ほらっ!文化祭明日だよ?
練習しなくていいのー?
まっ、私は失敗になっても演劇部なんてどーでもいいけどねー。」



明るくしてニヒッと笑いその場から立ち、台本を読み返す。




「うわ、うっぜー笑
かりんが一言でも間違えたりしたらその時はお前のコトみんなに一斉送信するからな。」



「それ、ずるすぎでしょ!
言わない約束だったのにさ~。」



「それは自分がちゃんとしたらいいだけだろー?」




アハハと絶えないおしゃべりが続く。







その時は気づかなかった。

何かが変わろうとしているなんて…