「プッ、その調子ならいいな」
少し笑い確認したようにコッチを見て早くやろーぜという目で見てから台本に目を戻した。
「……?」
あ…
もしかして……わざと私が昔のこと思い出させないように話をすり替えた…?
素でも空気は読めるんだ…
ちょっと感心。
「んーーーっ!疲れたぁ〜」
うーーんと伸びをする。
時刻は午後7時45分
校舎には誰もいない。
もちろん私たちのいる体育館にも私達意外誰もいない。
「あんた、厳しすぎ!あんたってこういう演技とかめんどくさそうなのは適当っぽいのに…」
相川にたーっぷりしごかれたおかげで
クタクタ…
「俺だってやる時はやるっつーの。
まぁ、普段演劇部でこんなに熱血になったのは、初めてかもな」
「ちょっと……それひどくない?
私が下手すぎるからビシビシしごいたってわけ!?」
「違うって、その逆。
他の奴らは下手すぎんだよ。でもお前は断トツ上手いから、俺も燃えたんじゃねー?」
なんか…
それは素直に嬉しいけど…
「……お前さ、昔のことで何か抱え込んでんなら俺で良かったら聞くから。」
「え?」
…ずっと心配してくれてたわけ?
私が思い出さないようにぶっ倒しで演技してたってこと…?
「別にあんたに心配されなくても間に合ってるからー」
「お前…可愛くねーなぁ」
「そー?猫被ったら可愛い態度になるけどー?」
冗談っぽくイタズラな顔で喋り続ける。
素で笑ったのって久しぶりかも。
笑うのってこんなに楽しかったんだ…。
「じゃ、私帰るから」
「送ってこーか?」
「は?」
「もう暗いしこんな中、女一人で帰らす男いないだろ」
いやいやいや!
無理無理無理!!
ていうか今日は桂山と帰ることになってて断ったのに他の男と帰るってどーよ?
桂山にそんなところ見られたら何て言ったらいいか分かんないし…
て!
別に桂山のことなんてどーでもいいじゃん!

