「ねえ聞いた?東雲くんが」

亡くなったんだって_____



そんな話を退院して明日学校に行けると思ってた時下校中の生徒の会話から聞いた


「ヒック う、ぁああああっ」

彼氏…佐野 新
私の彼氏は死んだという東雲 凜音の親友だった


「……」
別に彼は凜音と違い無口という訳でも冷たいという訳でもない。
家に連絡も無しに突然押し掛けて来た私に

「泣きたいなら好きなだけ泣けばいい
我慢する必要は何一つないんだからさ」

と初めこそ驚いていたが泣きそうな顔を見て悟って優しい言葉をかけてくれた。


「うわああああああああああああああああああああああああああああッ!!」
新に抱き着くというよりかはしがみついて泣き叫ぶ。
どうでもいいけど明日目腫れて声も掠れそうだなぁ うわぁ



あの日凜音に病室でキスをされた翌日からまるで病気自体が無かったかの様に治り始めた。

医者も皆も私も驚いたがそれ以上に嬉しかった
前とは違った意味で泣き崩れた


退院して学校に行けるまでに回復したので明日行こうと準備を整えていた
まさか学校がこれほどまでに楽しみに思える日が来るとは思わなかった
彼氏が出来た時も行くのは楽しくなったけれど

そんな浮かれていた時凜音が死んだと知った
ちなみにもう火葬も終わっている

ずっと涙を堪えてた

信じられなかった、信じたくなかった
けれど遺体を見たら嫌でも信じざるを得なくて…

やっと理解した。
凜音は「まるで」でも「様に」でもなんでもなくて…私の病気を移して私を助けてくれたんだって

そんな話あるかっ!何て元の私は言うだろう
でもそうとしか思えなかった

凜音の死は私のせいだと凜音の両親に言ったら『そんなことない』と即否定された

「ヒック うぅぅぅう゛」
ポンポンっと一定のリズムで抱き締めながら背中を叩いてくれる

凜音…自分の命を捨ててまで私を助けてくれたんだね…

本当にありがとう


ごめんね





大好きだよ
結局答えられなかったけれど凜音の想いも本当に嬉しかった










「ねえ」

「…ん?」

「何で…キスなんてしたの?」

「え?……そりゃぁ」



_______幸せになってほしいから_______








あの時の言葉はこういう意味だったんだね




ごめんね…
凜音の分までどれだけ辛くても頑張って幸せになります。



最後の最後まで助けてくれて本当にありがとう