「…どうして、毎日ここにくるの? 凜音」

「………」
無言。こいつは何時も無口で必要最低限のことしか話そうとしない

幼馴染みの腐れ縁 それが凜音との間柄

家族ぐるみで仲が良く私も良く凜音とは遊んでいた。さすがにもう高校生だし彼氏も居る。
会ったら話す程度しか接点はないんだ


ここは私の入院している病院の個室

何故私が入院するはめになったのか

日曜日…家族皆が揃ったリビングでのこと…



お姉ちゃんは彼氏とメールをして
お兄ちゃんはテレビを独占して
弟はゲームをして
お母さんはお昼御飯を作ってくれていて
お父さんは仕事で疲れているんだろうソファーを独占して寝ていて
私は静かに本を読んでいた。

ページを捲ろうとしたとき___

ドクンッ

と心臓がなった。一瞬漫画の様に辺りが白黒でブレて見えた


次の瞬間
呼吸困難に 陥った

「ッハァッハッハッハッ」

息を吐き出す事しか出来なくて少しでも空気を取り込もうとするとむせて逆に悪化するだけだった

皆が何事だと驚いた顔でこちらを見る
「楓?!」


名前を叫ばれてからの記憶がない
目が覚めたら初めに目に入ったのは病院特有の白い天井
家族の話によるとあの後私は倒れたみたい

凄く苦しかったのを鮮明に覚えてた
最初は発作だろうと判断されまた何時起こってもすぐ対処できるようにと入院していた

最初はね


けれど発作だと思われた『それ』は原因不明の重い病だった

それでも治療法はあった

だけど普通ならかかったらすぐに呼吸困難になり対処している所が私は症状が出るのが遅くもう随分と病が進行してしまっていたようで
もう治る見込みはない

余命ももう一週間もない

寧ろあの時そのまま死んでしまっていたほうが自然な程だという

それを聞いて家族親戚友達
皆が泣き崩れた
「どうして楓なの」とか「畜生」とか「ごめんね」とか色々
本人の私は自分の事なのに余り実感が沸かなかった
自分の事だからかもしれないけど
けれど私はこんなに想われていたんだ、と泣いている皆をみて凄く嬉しかった


今日私が生きていられる事が奇跡なんだ

生きている何て意識もしなくて当たり前な事だと思ってたけど「生きたくても生きられない人達の気持ちを考えろ」ってホントだな


けどそれとこれとは話は別。
アルトは確かに友達思いで意外と優しいけれど毎日居られるだけ私の病室に来るんだよ?



「ねぇどうして毎日この病室に来るのかって、聞いてるんだけど?」