「犬、飼ってないって言われたんだけど」

 
 翌日、朝一で学校に来ていた俺は、教室に入ってきた航太を掴まえた。

「陽菜に聞いたの?」

 航太は目を丸くして、ちょっと驚いたような顔をした。

「聞いたけど? 悪いか?」

 ちょっと、逆切れ。俺が口が軽いみたいな感じじゃん。

「悪くはないけど」

「ウソだったのか?」

 からかわれたとは思いたくないけど。

「ウソというか……そうだな、犬みたいなもの?」

「何だよ、そのみたいなものって?」

 歯切れの悪い言い方。
 意味、わかんねぇ。