久しぶりの陽菜の感触。

 温かいぬくもりに包まれて安心するのは僕のほう。


「陽菜、大好きだよ」

「わたしも。歩夢のことが大好きだよ」

 ためらいもなく返ってくる言葉は僕が本当に欲しいものじゃない。


「陽菜は僕のことをどう思ってるの?」

「どうって、歩夢はかけがえのない家族で、時々、わたしより大人になっちゃう大好きな弟だよ」


 そうだよね。
 陽菜にとって僕は弟。


「それじゃ、陽菜は、時々、僕より子供になっちゃう大好きな姉ってところなのかな?」

「全然、頼りにならない姉だけどね」

 僕の気持ちなんて知らずに腕の中で陽菜はくすくすと笑ってる。


 今まではそれでも満足できたけれど、もうそろそろ限界かな?


「今度の休みはいつ?」

「いつだろう?」

「じゃあ、休みがわかったら教えて。それから、その日は何にも予定を入れないで」

「どうして?」

「その日は2人でどこかに出かけよう。陽菜の行きたいところに連れてってあげる」