今も。これからも。ずっと、きみだけが好き。

 始まりは俺の初試合の前日。

 ガチガチに緊張してしまった俺を励ますためにやってくれたもの。

 そのおかげで、初出場でベスト16まで進めたのは、俺にとっては上出来の結果だった。
 それに気を良くした俺が試合の度にお願いするようになったから、いつの間にかジンクスのようになってしまった。

 小学生の間だけのことで。
 あの頃は単純に無邪気といえば、無邪気だったけど。



「陽菜」

 俺は焦れて名前を呼ぶ。

 陽菜が両手を空っぽにして俺の前に立った。


「陽菜に力をやるから、陽菜も俺に力をわけてくれ。お互い、エネルギーの交換をしよう」

 あの頃は一方的に陽菜からもらうばかりだったけど、現在だったら俺だって陽菜の力になれると思う。

「うん」

 陽菜の瞳が少し潤んでいる。


 俺は陽菜の顔を隠すように抱きしめた。

 華奢なつくりは昔とちっとも変らない。
 もうちょっと、肉が欲しいよな。


 歩夢が心配するのもわかるなって、妙に納得してしまう。

 余談だけど。