過去を後悔しても時が戻るわけじゃない。

あの時、もっとこうしていれば、軽視しないで陽菜のことを見ていれば、陽菜も苦しまなくてすんだはず。
体重だって、ここまで落ちることはなかったはず。

後悔はあとからあとから、出てくるけど。



「今までのことはいいよ。忘れて。それより陽菜、これからのことを考えよう」


  大会が始まるまでの1か月弱。

「お弁当を作ってあげるから。陽菜は必ずそれを食べて」

「それ……は、でも……」

  僕の腕の中で小さな抗議。


「今は僕のことより自分のことを考えて。自分では作れないでしょう?」


朝練の最中、そこまでの余裕はないはず。


  陽菜は悔しさを滲ませて頷いた。