「なんで笑うの?」

「別になんでもないよ」

 くすくすと笑う僕を見て、

 
「何でもなくないでしょ。笑ってるもん」

頬をぷくっと膨らませて怒る陽菜。

 
 どっちが年上なんだか。


 陽菜の表情はどれもかわいいからね。
 もっと見せてって思ってしまう。
 

「それより、髪をちゃんと乾かさないと。もう少しだから」

「ああ、そうだったね」

 陽菜は本来の目的を思い出して座りなおした。

 すっかり機嫌は直っている。



 僕はドライヤーを当てて乾かしていく。

 
 ホント、陽菜が不精な性格でよかった。

 堂々と陽菜に触れるからね。



 髪を触るのだってホントは勇気がいる。

 
 洗い立ての髪は、いい匂いがして、さらさらしていて、触り心地がいい。



 これも、弟だからできること。