今も。これからも。ずっと、きみだけが好き。

 俺の視線に気づいた歩夢は、

「そうだね。時間も遅いしね。そうだった、彼女できたんだってね。おめでとう。よかったね」

 棒読みに近い口調で、にっこりと微笑んだ。

 目が笑ってない。
 心のこもらない声で言われても、ちっとも、嬉しくないんだけど。

「まあね」


「航太兄ちゃんに彼女が出来たのは嬉しい限りだけど、だからって、陽菜が他の男と帰ってくることはないと思うんだけど? どう思う?」



 本題はこれだよな。

「どう思うって言われても、1人で帰るよりいいと思うけど」

「だったら、陽菜の友達は?」

「途中で別れるから、1人で帰る距離の方が長いと思う」



 歩夢はいすにもたれかかると、天を仰いだ。
 何事か考えていたらしい歩夢が、しばらくして口を開いた。

「航太兄ちゃんが送ってくればいいじゃん」

 結論はそれか。

「俺も送ってくるだろ。それに俺だって彼女と帰りたいし」

「ふーん。彼女と帰るためなら、陽菜を犠牲にしてもいいんだ」

 目を眇めて俺を睨んでくる。
 犠牲って、大袈裟な単語を使う。