今も。これからも。ずっと、きみだけが好き。

「航太兄ちゃん、高校は楽しい?」

 空っぽになったカップを持て余すように手にしていた俺に、歩夢はじっと見ながら聞いてきた。

 
「まあ、楽しいかな」

 高校生活は充実している。

「航太兄ちゃんはそうだろうね。でも、楽しいからって、友達を放っておくのはどうかな? 航太兄ちゃんって、友情に厚い人だと思っていたんだけど、僕の勘違いだったのかなあ?」

 悲しそうに首を傾げるな。
 それにネチネチといたぶるような言葉。


「もっとわかりやすく言ってくれるかな? そのほうが話が早いと思うぞ」

「今のはものすごく、わかりやすかったと思うけど?」


 わかる、わかるけど。今日に限ってはまどろっこしい。
 いつもならもうちょっとつきあうけど。


 意外な切り口から責めてくるから、応戦していると面白いんだよ。
 だからって、勝ったことは一度もないけどな。
  

 俺は正面の部屋の時計を見上げた。