「そうだったね。じゃあ、今夜はわたしが役に立つね。かぜを寄せ付けないんだから。歩夢は安心して寝ていいよ」

 不意打ち。
 穏やかな顔でそんな優しい言葉が出てくるなんて。

 陽菜、それ、反則。
 それって、殺し文句だよ。

 もしかして、あの時のことを思い出して、怒るかなって思ったのに。
 そしたら、またからかってやろうなんて思っていたのに。

 ホントに、もう、何度惚れさせたら気がすむんだろ。

「陽菜、大好き」

 僕は陽菜の体を抱きしめる。

 小さい頃からずっと一緒に寝てるから、今更、ドキドキもないけれど、
 陽菜の匂いはとても落ち着く。


「わたしもだよ。歩夢って温かいね」

 

 僕の体温を感じて、当然のように満足そうな表情で、陽菜は抱きしめられていた。