「陽菜ぁ。まだぁー」

 僕はベッドの中から陽菜を呼ぶ。

「うん。もうちょっと」

 机に向かって宿題をしている陽菜は、背中越しに返事をする。

 
 まだかかりそうかな?

 宿題は大事だからね。おとなしく待つことにする。


 僕は枕元に置いている陽菜のスマホの電源を入れる。

 陽菜は携帯に別段興味はないらしく、いじっている所をあまり見ない。
 どっちかっていうと苦手。

 機種が変わると、慣れるまでに時間がかかって、四苦八苦しているのを見ていたから。

 今は僕が操作してあげてるほうが多い。
 だからかな。

 普通だったら、他人に携帯を見せることなんてしないんだろうけど。


 個人情報詰まっているしね。

 メールなんて特に、相手次第では秘密にしときたいところなんだろうけど。
 僕だって見せないし、見せたくない。


 こんなところまで、無防備だよね。